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市民記者によるネット新聞という特性を生かすためには 9日、北朝鮮が地下核実験を実施した。当然のことながら、9日の夕方からマスコミはこの話題一色。翌日は、一般紙が新聞休刊日だったこともあり、多くの人々が、テレビでこのニュースを見たのではないだろうか。 一方でオーマイニュースでも、9日午後から立て続けに、北朝鮮核実験関連の記事が掲載されている。素早く情報を集め、記事を書き上げた記者の方々の対応の速さには感服するばかりだが、内容的にはテレビなどの既存マスコミで報道されているニュースの焼き直しである感は否めなかった。もし、核実験の詳細や、日本を含めた各国の対応をより詳しく知りたければ、オーマイニュースを見るのではなく、テレビを付けるだろう。そのほうがずっと早く、信頼性があり、情報量も多い。 では、このような時事ニュースをオーマイニュースで伝える意義はなんだろうか。あるいは、速報性や情報量では既存マスコミにかなわない中で、どういう特色を出していくべきなのだろうか。 私は2点あると考える。 1つはコメント欄(「この記事にひと言」欄)の存在である。9日に掲載された記事にも相当量の書き込みがあり、アクセス数も増大しているようだ。話題の性質上、悪辣な内容のものも少なくないようだが、市民間の議論を活性化させる役割を担えるとすれば、受け皿として記事の意義は大きい。テレビや新聞に対抗しうる要素である。 もう1つは、あくまで市民の視点に立った記事、市民の実体験に基づいた記事を、時事ニュースに絡ませて伝えることである。たとえば先日、中国・北朝鮮国境の丹東を旅したときのことを記事にしたものが掲載されていた。直接今回の核実験に関係する記事ではないが、広く北朝鮮問題を考えるにあたっては参考になる記事ではなかったかと思う。 核実験に際し、北朝鮮当局が何を言ったかとか、訪韓中の安倍首相がどう対応したとか、そのような刻一刻と変動する国際問題の最前線について記事にするのは、一市民記者の手には余ることである。むしろ、いかにプロの記者ではない、市民ならではの関連記事を取り上げられるか、その点にオーマイニュースの存在意義があるのではないだろうか。 そこで残念なのが、他の市民記者の方も記事で指摘していたが、検索機能がないという点である。上述の北朝鮮国境の記事も、検索機能がないため、私は探すことを諦めた。たとえば、「北朝鮮」という単語で記事の検索ができれば、過去に投稿され、今は埋もれたままである記事が再び読者の目に触れ、活用されることになる。 現状では1つひとつの記事の注目期間が短く、市民発のせっかくの個性ある記事が、ただ消耗されているだけのようなきらいがある。市民記者によるネット新聞としての特性を、有機的に活かす紙面づくりを期待したい。 (2006年10月12日掲載)
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