ドバイ/UAE&オマーン子連れ旅行/第4日 アラブらしさが見つからない
アラブらしさが感じられない無国籍都市での休日。
8月12日
男2人プールで世界の美女探し
ドバイ3日目、今日は長男待望のプールの日。ドバイには巨大なウォーターパークが2つあるのですが、そのうちの1つワイルド・ワディに出かけました。
2歳半の長女は、まだ楽しめないしもったいないということで、この日は男女に分かれました。私と長男の♂チームはプール、妻と長女の♀チームは近接したショッピングモールのマディナ・ジュメイラへ。
ところでこの日は金曜日。イスラム圏の休日ですが、外国人が集まるプールなら影響がないだろうと判断、これがのっけから誤算でした。通常10時の開場が、ラマダン期間中の金土に限り、まさかの12時から。1時間半も待ちぼうけを喰らうことになりました。
気温45度の炎天下、どこで待てばいいのでしょうか? 焼け死んでしまいます。
【冷房完備のバス停】
頭をひねって思いついた正解は、バス停! ドバイのバス停はどこも、かまぼこ型のシェルターになっていて、冷房完備。外よりも20度涼しいベンチに座って長男と2人、道路を走るバスや車を眺めながら時間をつぶしました。
同じことを考える人はいるものです。ややあって、西洋人のおばさんがやって来ました。やたらお喋りなマシンガントークのおばさんでした。
「ああ、涼しい。ここはまるで天国ね」
「ねえ、あなた、バス停と私の写真を撮って下さらない」
「さあ一休みしたから、次のバス停まで頑張ろうかしら」
あっけに取られながらシャッターを押しておばさんの写真を撮ってあげた私。「面白かった」と大ウケする4歳長男。そしておばさんは5分ほど涼んだ後、どこまで歩いていくのか立ち去っていきました。
【ジュメイラ・ビーチホテルの眺め】
そうこうしているうちに待望の12時。ワイルド・ワディ入場です。
世界最大級のウォーターパーク。目玉は最高時速80キロというウォータースライダーですが、当然4歳児が遊べるわけがありません。彼にあわせて、小さい子供でも楽しめるキッズエリアを目指します。
入口で配られた案内図によると、身長110センチ以下の子供にも適しているプール(アトラクション)は4つありました。
1つめは広々とした遠浅のプール。いわば人工の浜辺で、波もあります。ライフジャケットを無料で借りることができるので、早速子供用の小さいものを着せてあげました。
「ほんとに浮く~、見て見て、泳げるよ~」とご満悦でした。
昨日のブルジュ・ハリファ界隈と同じく、世界各国の観光客が集まっているワイルド・ワディ。さすがに地元アラブの女性というのは見かけませんでしたが、お父さんは息子の泳ぎを眺めているふりをして(妻もいないし)、世界の美女チェックを楽しんだのでした。
【ワイルドワディの大プール】
【七ツ星ホテル、ブルジュ・アル・アラブ】
2つめは子供用のウォータースライダー。いくつもの階段と滑り台が組み合わさって、立体迷路のようでとても楽しそうでした。難関は一番上に取り付けられた「樽」。この樽が定期的に水で満杯になり、ひっくり返ります。そのとき落ちてくる大量の水が怖いという長男、、、結局ここではほとんど遊びませんでした。
3つめと4つめは流れるプール。ワイルド・ワディ内には多くのコースがあって、中でも流れが緩やかな2ヶ所が子供向けになっていました。大小の浮き輪がたくさん浮かべられていて、好きなものに乗ってふわふわ流れていくという遊びです。ひっくり返る心配もないのですが、いたる所にライフセーバーがいて安心です。
2人で乗れる「8」の字型の浮き輪があり、ライフセーバーのお兄ちゃんにすすめられましたが、穴が大きすぎて長男の身体がすとんと落ちてしまうため、彼を小さい浮き輪に乗せて、私は泳いで浮き輪を押しました。
最後、水が滝のように落ちてくる箇所があって、臆病者の長男は断固嫌がったのですが、強引に突入。子供泣きまくり、お父さんは爽快でニコニコ。でも、後でお母さんと合流したときは、「すごい滝のところも行ったんだよ」と勇気ある自分を演出していました。
【ショッピングモール、マディナ・ジュメイラ】
アラブらしさが見つからない
♂チームがプールで楽しんでいる間、♀チームはショッピングモールで退屈だったようです。アラブのスークを模したモールは閑散としていて、開いている飲食店はカフェと中華料理店が1ヶ所ずつのみ、時間をつぶすのが大変だったと妻がこぼしていました。
でも、2歳長女は人が少ないのをいいことに思う存分歩き回り、また中華料理店のラーメンが美味しかったようでご満悦。アラブ・インド系の香辛料料理より、中華のほうが口に合うようです…。
この日もいったんホテルに戻り、日没でレストランが開く時間まで休憩。
長女の「ラーメン…」という意見を即決で無視し、やっぱりアラブ料理が食べたいぜ、と街に飛び出すのですが、これがまた、困難極めるレストラン探しの旅となりました。
結論を強引に言いますと、ドバイはアラブではなかった! ということです。実質、インド人、パキスタン人の国。
通りを歩いている人の多くはシャルワールカミース(パキスタンの民族衣装)を着ています。街角の巨大な壁面看板にはサリー姿の女性の絵。華やかなネオンサインを掲げた店の看板には「Bollywood(ボリウッド=インド映画のこと)」の文字。
そしてレストランの看板は「バンガロール」「カラチ」「パンジャブ」など、インドやパキスタンの都市や地名を記したものばかり。メニューを見ても、店内の客層を見ても然り。『地球の歩き方』に載っていたアラブ料理のレストランはつぶれてしまったのか、見つかりませんでした。。
【活気ある夜のドバイ市街デイラ地区】
【ゴールドスーク、金のお値段は?】
今は何でも食べる日本人の感覚からは分かりにくいですが、海外ではその人が所属する集団(民族や宗教や階層)によって、厳密に食べるものが分かれていたりします。ドバイに住むインド人も、パキスタン人も、地元の料理を出すレストランにしか行かない。つまりアラブ料理の需要がないのでしょう…。
昨晩はドバイモールの中のフードコートで、レバノン料理のお店を見つけることができました。外国人旅行者が多い場所だから成り立っていたのかもしれません。
歩き回って徐々に不機嫌になる長男。最後は結局、裏寂れたインド・ムスリムのレストラン(というか食堂)に入ることになりました。まあ、割り切って考えれば、それはそれで美味しいのですが。
「ハロー、ハワイユー」と陽気に話しかけてくる店員のお兄さんに、フレッシュジュースを飲んで機嫌を直した長男は、「おじさん、何やってるの?」と屈託なく日本語で問い返していました。
ドバイの街を歩いていると、これだけ多国籍で色々な人種の人々が歩いているわりに、ふと気づくことがあります。それは、必ず英語とアラビア語の2言語の看板しか見かけないことです。
シヴァやガネーシャなどヒンドゥの神々があふれるインド人街に迷い込んだときも、店名は必ず英語とアラビア語で書かれていました。手書きの貼り紙などを除いて、ヒンドゥ文字やタミル文字は見かけませんでした。そして、ラマダンをしないはずのヒンドゥ教徒の店でも、レストランは日没まで開かないし、人目に着く場所で飲食している人は1人もいません。
おそらく法律で看板の表記を規制しているのでしょう。ラマダンについても同様の強制力があるのでしょう。たとえUAE国籍の地元民は2割しかいなくても、いくら世界有数のコスモポリタン(無国籍)都市だといっても、ここはアラブの国であり、イスラム教の国だというドバイの譲れない「意地」を見たように思いました。
日本も将来、少子化がさらに進んで、移民の割合が増えてきたら、「看板には必ず日本語の表記を入れること、ハングルや簡体字(中国式の漢字)、スペイン語やポルトガル語は禁止」なんて法律ができてしまうかも…。ありえない?