ドバイ/UAE&オマーン子連れ旅行/第3日 滅んだ遺跡のような未来都市
なにごとも世界一を目指すキテレツ都市ドバイを往く。
8月11日
滅んだ遺跡のような未来都市
昨日の反省を踏まえ、徒歩をなるべく控え、公共交通を積極的に利用すると決めたドバイ2日目。
午前中に向かったのはパーム・ジュメイラ。かの有名な、ヤシの木の形をした人工島です。その幹の部分にモノレールが運行しています。バスとメトロとタクシーを乗り継いで、ジュメイラ・モノレールのゲートウェイ駅に着きました。
さぞかし観光客で賑わっているだろうと思いつつ、訪れてビックリ。
まるで廃墟のような、がらんとした建物でした。建設途中のショッピングセンターのような薄暗い雰囲気。ネパール出身だというガードマンが1人立っているだけで、あとは無人。ガードマン氏はニコニコと、乗り場は上階だとエレベーターを案内してくれました。
【賑わうドバイメトロの車内】
【閑散としたジュメイラ・モノレール】
改札階には駅員が数人いるのみ。ホームに上がると無人。ほかに誰もいません。。。モノレールの車両もありません。
「モノレールはどこ?」
早速不満げな表情の4歳長男。彼をなだめつつ、本当に運行しているのだろうかと、親も半信半疑で待つ10分あまりの時間の長かったこと。
ようやく向こうからやって来たモノレールに乗っていた乗客は、わずか2人。折り返し出発したモノレールに乗った乗客は、私たち家族4人と、間際になって駆け込みでやって来た西洋人のおじさん1人。
【パーム・ジュメイラの奇観】
【アトランティスホテルの金の自動販売機】
日本でも、利用客数を適当に見積もって巨費を投じて建設したのはいいものの、開業してみると閑古鳥が鳴いて大赤字という事例は、高速道路やハコモノ施設など、全国にいくらでもあると思うのですが、たぶんドバイのジュメイラ・モノレールよりマシです。ネパールから出稼ぎに来たガードマン氏、これで給料もらえるならラッキーです。
終点まで途中駅が2つ。どちらもまったくの無人。周辺はまだ開発途中らしく、駅の周りにはクレーターのような大きな穴が空いていました。立ち並ぶビル群も、どれも建設中で人の気配がありません。
あたかもSF映画に出てくる滅び去った未来都市かのような風景…。
『地球の歩き方』には記載がないモノレール。あまり旅行者に知られていないのかもしれません。豪華ホテルに泊まる人たちは、もっぱら専用車利用で公共交通など使わないので、その存在に気づかないのでしょうか。
もったいない! パーム・ジュメイラを空から眺める空中散歩。4歳長男は先頭車両でかぶりつき、2歳長女はがらがらの車内で気兼ねなくはしゃぎ放題でした。
色んな意味でドバイらしさが体験できるジュメイラ・モノレール。もちろん大人も楽しめます。メトロと直結していないので面倒はありますが、ドバイを訪れたらぜひ乗ってみるべきでしょう。
パーム・ジュメイラの先端、終点駅は超豪華ホテルのアトランティス。ウォーターパークや水族館を併設しています。みんなタクシーや観光バスで来るのかな?
ホテルに併設のショッピングモール。アイスクリーム屋が一軒、こっそり営業していました。扉がほんの少しだけ開けられ、笑顔のお兄さんが半身を出して(おいで)と手招き。子供たちが何か食べたいとぐずり始めたところ、吸い込まれるようにして入店したのでした。
【昼間営業のアイスクリーム屋】
【世界一のブルジュ・ハリファ】
満月にそびえるバベルの塔
パーム・ジュメイラを楽しんだ後、ホテルに戻っていったん休憩。夕方になって世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファと、近接した巨大ショッピングモールのドバイモールへ出かけました。
ドバイには多くのショッピングモールがありますが、その中でも最大規模のドバイモール。メトロ駅からの連絡バスは満員、着いたモール内も多くの観光客で賑わっていました。
炎天下のオールドスークよりも、冷房の効いたショッピングモール。これがドバイの正しい楽しみ方なのかもしれません。でも、、ブランド品の買い物などにはほとんど興味がない私たちは、まっすぐ水族館を目指しました。
ドバイ水族館のウリは、壁一面の超巨大水槽と、水中トンネル。アクリルパネルの大きさは幅32・88メートル、高さ8・3メートル、厚さ75センチで、もちろん世界一の規模だそうです。何事も世界一が大好きな街なのです。
【ドバイ水族館の巨大水槽】
【大迫力の水中トンネル】
さすがに迫力は圧倒的。水中トンネルで頭上を泳いでいくサメやエイの姿を、2歳長女が食い入るように眺めていました。怖いという感情はあまりないようです。。
4歳長男は、ピンク色で人の顔のような顔をした魚(人面魚?)の水槽の前で、「これがお父さんで、これがお母さんで、これが~」と、大きい魚から順に家族の誰かに見立てて、面白がっていました。
水族館を出た後、モールの中をひと巡り。涼しい屋内では子供たちの動きが違います。特に長女は、ちょっとベンチで休憩という際も、どこでもすぐに靴を脱ぎたがる癖があって、裸足になって駆け回るので、親としては追いかけるのが大変です。
長男は「ストップ!」と言えば足を止めるけど、長女はどこまでも行ってしまうので実力行使で止めにいくしかない。このあたりが4歳と2歳の、旅行に連れていく際の大変さの大きな違いです。。
小学生くらいの西洋人の女の子が、真っ黒な長女の足の裏を見て、顔をしかめながら「エクスキューズミー…」と私に一言。部屋の中でも靴をはく文化圏の彼女からしたら、その汚さがたまらなく、注意してくれたようでした。
そういえばドバイでは、裸足で歩いているような物乞いは、子供も大人も見かけません。それだけ国全体が豊かなのか、社会福祉が整っているのか、はたまた貧乏人は入国できないだけなのか。
【涼しいドバイモールでくつろぐ子供たち】
【ジ・アドレス・ダウンタウンホテル】
日暮れを待って外へ。
人造湖を囲むようにして、高さ828メートルの超高層ブルジュ・ハリファのほか、アラブ的外観のザ・パレス・ジ・オールドタウン、未来的なデザインのジ・アドレス・ダウンタウンといった高級ホテルが建ち並ぶ一角です。
「えー、スカイツリーのほうが大きいよ~」
昨年の秋にスカイツリーを観に行って以来、大ファンの長男は、決してブルジュ・ハリファのほうが高さがあることを認めません。かわいいヤツ。
日が沈むと同時に、東の空からはゆっくりと満月が昇ってきます。全てが人工的に造られた空間を、まん丸い月が妖しく照らす。ちょっと現実離れした空間です。
【巨大な噴水ドバイファウンテン】
【妖しく夜空に輝くブルジュ・ハリファ】
ややあって人造湖から水が一斉に噴き出します。例によって、これまた世界一の高さまで噴き上がるというドバイ・ファウンテンの噴水ショーです。
噴水を目当てに集まって来た人、人、人。その人種がこれまたバラエティに富んでいます。そもそも自国民UAE人の比率がわずか2割と言われる国。インド、パキスタン、バングラディシュなど南アジア系の住民が多く、旅行者はヨーロッパ各国、そして中国人の姿も目立ち、アフリカ系黒人の家族連れもたくさん見かけました。
一説によると内戦状態のソマリアから、お金を持っている武装勢力の親分が、ときたま息抜きをしにドバイに遊びに来ることがあるとか、ないとか。
かつて天を目指して建設されたバベルの塔は、神の怒りに触れ、罰として人間の話す言葉は互いに通じないようバラバラにされたといいます。母国語が異なる多くの人が、同じようにブルジュ・ハリファを見上げている様子を眺めながら、人類はどこへ行くのだろうと、そんな大それたことを考えてしまうひとときでした。