チャリダー養成講座/第十一回 野宿に挑戦しよう
宿もいいけど、やっぱりキャンプもしたい。チャリダー流の野宿術とは?
野宿のしやすさ、宿の見つけやすさは、国によって異なります。欧米先進国であれば快適なキャンプ場がたくさんありますし、途上国ならホテルの値段もたかがしれています。あるいは町と町の間が数百キロも離れていて、必然的に野宿をしなくてはいけないような場合もあるかもしれません。海外での野宿に抵抗があれば、夕方は必ず町に着くように行程を考えてホテルを探せばいいし、いざとなれば輪行という手段もあります。私は学生時代、カナダを走ったときはテント持参のキャンプ生活であり、東南アジアを走ったときは毎日安宿を利用していました。
しかし野宿には野宿ならではの良さがあります。
ここではチャリダー視点に立って、野宿の方法について考えてみましょう。
●寝袋
野宿をしない場合においても、寝袋は利用度の高いの旅行用品です。一般のバックパッカーでも寝袋を持って旅をしている人は多くいます。例えば夜行列車や夜行バス、あるいは安宿で毛布代わりに重宝します。場所や気候条件にもよりますが、テントがなくとも寝袋だけで野宿を行うことも可能です。
【寝袋/まさに万能、これさえあればどこでも寝られる】
●テント
登山用の防水防寒素材のしっかりしたものであれば最高ですが、自転車旅行の場合はもう少し安いテントでも構いません。空模様が不安な日は 素直に宿を探すか、軒下などの雨がしのげそうな場所を見つけましょう。サイドバッグやザックの類はテントの中に入れておくことを忘れずに。
●銀マットとロールマット
テントの中で敷くための、断熱素材で作られているマットです。もちろんあったほうが快適に眠れます。
●自炊用具
次回の講座で特集します。
●キャンプ場
日本を含め先進国を走る場合においては、キャンプ場は有効な宿泊場所です。自然の中で安くかつ安全に泊まることができます。
ただ、日本でも最近そのようなキャンプ場が増えてきましたが、キャンピングカーなどを主な利用者として考えているキャンプ場だと、設備が充実しているぶん料金が割高なこともあります。テントサイト一箇所につきいくらという値段設定になっている場合(つまり家族四人で利用しても一人旅でも同額)、うまくサイトを共有してくれる相手を見つけるとよいでしょう。二人で一つのサイトを共有すれば、値段は半額になります。
【キャンプ場/野宿するなら、まずはやっぱり安心の】
●宿の庭
宿によっては、敷地内にテントを張れる場合があります。もちろん部屋に泊まるより値段は安くなりますし、シャワーなど宿の設備は利用できるのでオトクです。また治安の面でも安心です。
●公園など
日本国内を走るのであれば、公園や道の駅は野宿の恰好の場所となります。水場があれば自炊できますし、屋根があれば雨露をしのぐこともできます。ただ海外においてこの種の野宿を敢行するには勇気がいることでしょう。お薦めはしません。慣れてくれば可能であるとだけ記しておきます。
●駅やガソリンスタンドなど
野宿となれば、あらゆる場所がその対象として考えられます。日本国内なら駅寝という言葉があるくらい、田舎の駅もまた有力な選択肢です。
かつて電波少年という番組でヒッチハイクする芸人が、度々ガソリンスタンドに泊めさせてもらっていました。街道沿いを旅するチャリダーにとっては、ガソリンスタンドやドライブインもまた野宿の候補地となります。国によってはトラックの運転手たちもこのような場所で仮眠をとっていることがあります。もちろんその際は、店の人にきちんと断って、もし食堂や売店を併設しているのであれば最低限何か買うようにはしましょう。
多くの場合、汗水垂らして遠い道を自転車漕いでやってきた外国人旅行者には、みなとても優しく暖かく接してくれます。そんな人々の好意を期待して野宿をしようというのは、ちょっとずるい方法なのかもしれません。感謝の気持ちを忘れず、あくまで貴重品は肌身離さず気を付けて、片隅にテントを張らせてもらえるよう頼んでみましょう。
【ガソリンスタンド/街道沿いを走れば幾度となくお世話になる】
●大自然
町もない、村もない、キャンプ場などもない。砂漠や、草原や、山岳地帯に、ただひたすら一本の道が続いている。
まさに自転車ならではの旅路です。
夕方になり日没を迎える。どこか適当な木陰なり、岩陰なり、見つけてテントを張る。街道沿いであれば夜でもトラックや車が走るでしょうから、本当に真っ暗で誰もいないという状況にはならないかもしれません。
しかし満天の星空に抱かれて、泥のように眠る。朝は日の出と共に起きる。これこそチャリダーの醍醐味です。
【大自然/地平線から昇る日の出を拝んで、さあ出発】
冒頭にも書きましたが、野宿のしやすさというのは、その国その国の風土や治安状況によって千差万別です。一概にこうだ、と言うことはできません。警察がやってきてここに泊まるなと言われることもありえます。
各国別の野宿事情については、また改めて述べていきたいと考えています。