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「この場所に何があったか憶えてますか?」  ある改装中店舗に目が留まった



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 移ろい激しい東京の町並み。その中でも最も変化が大きい町の1つ、東京・渋谷で見かけたひとこま。

 改装工事中のビルに垂れ幕がかかり、写真のように大きな字で書かれていた。

 町を歩いていて、ビルの取り壊し工事をしていたり、新しい店ができていたときに、「あれ、ここ何があったんだっけ?」という会話、おそらく誰もが口にしたりしたことがあるのではないだろうか。

 ちなみに私はこの道を仕事の都合でたまに歩くのだが、そこに何があったか、まるで覚えてはいなかった。そもそも気にもとめていないといった方が正しいか。

 町の風景は、次々と忘れ去られ、いつの間にか大きく変わっていく。

 渋谷は「谷」という字が示すように、渋谷川に沿った谷であり、その深さの証拠に、地下鉄銀座線が高架を走っている。音楽の教科書にも載っている唱歌『春の小川』(♪春の小川はさらさら行くよ〜)は、この渋谷川水系を歌ったものだとされているが、現在は川の上に道路が走り、地下に封じ込まれている。

 宣伝手法として面白く感じたのと同時に、妙に考えさせられるひとこまだった。
(2007年3月5日掲載)

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