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チャリダー養成講座/第六回 パンクに対処せよ



最低限、パンクだけは直せるようにしておきたい。だけど、どうすれば?


 自転車にサイドバッグやフロントバッグを括り付けて、さあ出発……といきたいことろですが、まだ足りないものがあります。

 自転車が故障した場合の備えです。

 長旅であればあるほど、自転車の故障は避けられません。壊れた箇所を直すための工具が必要になります。

 海外自転車旅行と聞いて、いいなあと憧れを抱く人も、故障とか工具という単語を聞くと、尻込みしてしまうかもしれません。慣れない外国で頼みの綱の自転車が壊れて途方に暮れる姿を想像し、とてもできないと諦めの気持ちが生まれてしまうかもしれません。

 しかし、私も自転車のメカ的な分野は、正直得意ではありません。パンク修理以上の修理はあまり自信がありません。それでも広大な大陸相手に走り続けることができました。自転車屋さん並みのメカニック技術などなくとも、海外チャリ旅行は充分可能なのです。

 今回は、自転車旅行において最も頻発し、そのためにこれだけは必ず克服できなくてはならない初歩の故障、つまりパンクの対処方法について説明します。

未舗装の悪路はパンクの危険性が高い
【未舗装の悪路はパンクの危険性が高い】

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●パンクの種類

 パンクには、針金や植物の棘などが刺さって穴が空いてしまうパンクと、リム打ちと呼ばれる道路の段差などで生じるパンクの二種類があります。リム打ちとはタイヤのリム(金属製の輪っかの部分)でタイヤチューブを打ちつけてしまうことで、空気圧が低かったり、砂利道や段差などを無理に走行した場合に生じます。

 修理のやり方はさして変わりませんが、原因がどちらであるかは、いちおう把握しておきましょう。

●パンク修理セット

 市販のパンク修理セットで問題ありません。専門の自転車屋さんでなく、スーパーに売っているようなものでも大丈夫です。通常セットに入っているものは、タイヤレバー、ゴム糊、紙やすり、そしてパッチです。特にパッチは消耗品ですので、多めに買っておくとよいでしょう。

●空気入れ

 これがないと話になりません。家で使うような足踏み式のものがもちろん使いやすいのですが、携帯には不向きですので、これは自転車屋で小型のものを買いましょう。ちなみに、パンク修理具は途上国でも手に入りますが、小型の空気入れはなかなか売っていません。

タイヤを外しパンク修理を行うの図
【タイヤを外しパンク修理を行うの図】

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●パンク修理の方法

①タイヤからチューブを取り出す。タイヤレバーをリムに引っ掛けて、タイヤをこじ開けます。慣れれば簡単ですが、特に真新しいタイヤの場合、ゴムが固くて苦労するかもしれません。たまにレバーでチューブを傷つけてしまうことがありますので、力の入れすぎには気を付けましょう。

②チューブに空気を入れ、どこから洩れているか調べます。洗面器に水を張ってチューブを浸すのが確実な方法ですが、走っている途中のパンクでは、そうもいきません。チューブに耳を近づけ、空気の洩れる音で判定する必要があります。穴が小さい場合、見つけるのに苦労することもあります。苛立つ瞬間です。

③見つかった穴の周辺を紙やすりできれいにし、ゴム糊を塗ります。付けすぎないよう、ムラが出ないよう、薄くまんべんなく塗りましょう。

④糊が乾くのを待って、パッチを貼ります。ここで慌てると失敗します。貼ったパッチはタイヤレバーの背中などでしっかりとチューブに押し付け、剥離しないようにします。うまく貼れた場合は、パッチの外周部が溶けたような感じになり、チューブと一体化するのが分かるはずです。

⑤空気をたっぷり入れ、穴が他にないか、しっかり塞がったか、確認します。これを怠ると、二度手間になる可能性があります。

⑥空気をいったん抜き、チューブをタイヤの中に戻します。この際、パンクの原因が針金や刺のような異物の場合、タイヤの裏側を前もって調べ、これを取り除くのを忘れてはいけません。また、リム打ちパンクの場合は、空気圧が甘いことが考えられますので、しっかり空気を入れておきましょう。

パンクを直し、さあ次の町を目指せ
【パンクを直し、さあ次の町を目指せ】

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 どうです? 簡単でしょう。

 ちなみに、運がよければ一ヶ月乗り続けてパンクが一度もないということもありますし、運が悪ければ二日に三回のパンクということもありえます。あまり頻発するようなら、チューブもしくはタイヤが寿命であると考えた方がよいでしょう。

 極論すれば、パンク修理だけでも自力でできれば、チャリダーとして充分やっていけます。

 ただ、一応その他の工具や、整備の手法についても知っておくべき事柄がありますので、それは次回説明することにいたしましょう。

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