チャリダー養成講座/第一回 チャリダーとは
そもそもチャリダーとは何か。その定義は?
チャリダーという言葉は、自転車を意味するチャリンコと、バイク乗りのライダーを合わせた造語です。
私が初めてこの言葉を耳にしたのは北海道でした。夏の北海道はライダーのメッカです。だだっ広い大地を、テントや寝袋を積んだバイクが走り回っています。学生時代、サイクリング部の仲間たちとその北海道を訪れた際に、バイクで旅するライダーに対して、自転車旅行者のことをチャリダーと呼ぶ言い方があることを知りました。「チャリダーさんは大変だねえ」などと言われるわけです。
サイクリストではなくチャリダー、あまり馴染めない呼称だと思いました。私が所属していた大学のサイクリング部ではあまり広まらない言葉だったと記憶しています。
【アラスカ/北米最高峰デナリを眺めて】
そのあまり馴染めなかったチャリダーという用語に、再び巡り会うことになったのは、世界一周自転車旅行のときでした。
ザックすなわちバックパックを背負って旅をする人をバックパッカーと呼びます。貧乏旅行者、あるいは自由旅行者などと形容されることもありますが、お金を節約し、ローカル列車や夜行バスを駆使し、安宿を泊まり歩く旅行者のことです。
バックパックを背負っていたとしても、添乗員付きパックツアーの参加者であったり、高級なホテルに泊まってポーターに荷物を運んでもらうような旅行をする人は、普通バックパッカーとは呼びません。逆にトランクを携えての旅行でも、自力で交通手段を探し、安宿や市場で値段交渉をするような行き当たりばったりの旅が好きな人は、バックパッカー的であると言えるかもしれません。
そんなバックパッカーと対比して、自転車旅行者はチャリダーと呼ばれていました。もちろんバイクで旅をするライダーもいましたし、中にはトホダー(つまり徒歩旅行者です!)もいました。
世界中にあまたいるバックパッカー的な旅行をする旅人たちの中で、自転車を主たる移動手段としている者、それがチャリダーです。
バックパッカーが世界中にいるように、チャリダーも世界中にいます。
日本人チャリダーだけではなく、ドイツ人チャリダーも、イギリス人チャリダーもいます。珍しいところではイエメン人やアルジェリア人のチャリダーに出会ったこともあります。数は少ないですが女性チャリダーもいますし、旅行の一部分だけ自転車を買って乗ったというにわかチャリダーもいました。
【ケニア/チャリダー仲間と赤道を目指す】
学生チャリダーがいれば、社会人チャリダーもいます。私自身、会社勤めの長期休暇を利用して二週間弱の自転車旅行に出かけたことがありました。
チャリダー …… それは、自転車に乗って旅をする人のことです。
舞台は世界である必要はありません。日本でもいい。近所の峠道でもいいのです。
長い旅である必要もありません。一週間でもいい。日帰りでもいい。
自転車に乗って、走って、この広い大地を感じることができたら、それがチャリダーの第一歩です。なにも特別なことはありません。自転車が一台あって、自転車に乗ることができて、そして旅をしたいという気持ちがあれば、誰でもチャリダーになることができます。
簡単です。
さあ、あなたもチャリダーになってみませんか。