スイスの古都ルツェルン、おすすめ街歩き&アクセス方法
スイスといえば何と言ってもアルプスの山々、自然の美しさが見どころですが、実はのんびり街歩きの観光もおすすめ。第2次大戦で中立を保ったこともあり、中世以来の古い町並みが壊されずに残っているところが多いのです。その中でもしどこか選ぶとすれば、国の中央部に位置してアクセス便利、山と湖に囲まれたルツェルンが一押し。ぜひスイス周遊の途中に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
目次
1.チューリッヒから列車で50分、ゴールデンパスラインの起点
2.カペル橋&シュプロイヤー橋、中世の風情を伝える町のシンボル
3.車の進入禁止、小ぢんまりとして歩きやすい旧市街
4.傭兵国家スイスの歴史を伝えるライオン記念碑
5.フィアヴァルトシュテッター湖越しに望む美しい山並み
1.チューリッヒから列車で50分、ゴールデンパスラインの起点
スイスの中央に位置するルツェルンは、最大都市チューリッヒから列車でおよそ50分と訪れやすい場所にあります。つまりチューリッヒから日帰り旅行も充分に可能な範囲ですが、できれば1泊がおすすめです。というのも古くから町が栄えたルツェルンは交通の要衝、スイスを訪れたなら一度は乗りたい4大景観列車のうち2つ、ゴールデンパスラインとゴッタルド・パノラマエクスプレスは、ともにルツェルンが起点となるからです。
ゴールデンパスラインはアルプス観光の中心インターラーケンを経て、スイス西部レマン湖畔のモントルーへ。ゴッタルド・パノラマエクスプレスは遊覧船+鉄道の組み合わせでアルプスを越え、イタリア国境にほど近いルガーノを目指します。
ルツェルン中央駅は近代的な建物、ヨーロッパのターミナル駅には多く見られる頭端式ホームの構造です。構内には売店やレストランも多く、旧市街までも歩いてすぐの観光しやすい立地です。
2.カペル橋&シュプロイヤー橋、中世の風情を伝える町のシンボル
ルツェルンの町に着いたらまず訪れたいのは、中心部を流れるロイス川に架かる2つの橋。1つめ、八角形の通称「水の塔」と並んで架けられているのが、ルツェルンのシンボルでもあるカペル橋。全長207メートル、14世紀に造られた木造の橋、欄干には色鮮やかな花が飾られて歩くだけでも明るい気分になります。1993年に火災で焼けてしまったものが修復されています。
現在は景観美しい観光名所になっていますが、かつては湖の方面から町を襲ってくる外敵に備えた防御施設の役割があったのだとか。八角の水の塔はそのための見張り台として使われていたそうです。
2つめ、カペル橋から2つの橋を挟んで上流に位置するのがシュプロイヤー橋。15世紀初旬の建造で全長80メートル、カペル橋と同じように西方向から侵入してくる敵に対する防衛線だったのだとか。
途中で折れ曲がった独特の形状をしており、屋根の内側には禍々しい死神や病人の絵が飾られています。17世紀にヨーロッパ全土を襲った黒死病(ペスト)の惨状を描いたものだそうです。
川沿いには観光客向けの飲食店や土産店も多く、明るくて賑やかな雰囲気。2つの橋を気ままに渡りながら、旧市街と新市街を行きしつつの街歩きが楽しいところです。
3.車の進入禁止、小ぢんまりとして歩きやすい旧市街
歴史を感じさせるルツェルンの旧市街はロイス川の北側、カペル橋とシュプロイヤー橋の間、数100メートルの範囲に狭い路地が入り組んでいます。中心部は車の乗り入れが禁止されており、交通を気にせず歩けるのも嬉しいところ。端から端まで歩くのにさほど時間はかかりませんが、広場や教会を訪ねつつ、途中の店舗を覗いたりしながら、のんびり歩くのによいところです。 西側のヴィンマルクト広場は、かつてルツェルンがスイスの原初3州と加盟の誓約を交わした歴史的な場所でもあるのだとか。
川と反対方向、坂道を登っていくと辿り着くのがムーゼック城壁。かつては町全体を囲んでいたそうですが、現存するのはそのうちおよそ900メートル、形の異なる9つの見張り塔が並んでいます。
4.傭兵国家スイスの歴史を伝えるライオン記念碑
旧市街の中心から少し歩きますが、欠かせない見どころの1つが氷河公園の一角にあるライオン記念碑。カペル橋と並ぶルツェルンの代表的な名所でもあります。今は世界有数のお金持ち国として知られるスイスですが、かつては山に囲まれた貧しい土地で大きな産業もなく、外国へ兵隊として働きに出る傭兵が主たる外貨獲得の手段でした。18世紀末のフランス革命当時も、そんなスイス出身の傭兵たちが革命軍と対峙、786人が戦死したと言われています。
そんな戦死した傭兵たちを悼んで造られた慰霊碑がこのライオン像。かつてこの周辺が海岸だった頃に、砂が堆積してできた砂岩に彫られているそうです。
5.フィアヴァルトシュテッター湖越しに望む美しい山並み
街歩きに疲れたときにちょっと休憩したり、あるいは夕暮れ時の散歩にもおすすめなのが、フィアヴァルトシュテッター湖畔。湖上を行き交う遊覧船や、その向こうにピラトゥス山やリギ山といった周辺の山並みを一望することができます。もしルツェルンに何日か滞在するのであれば、標高2100メートルのピラトゥス山など周辺の展望台を訪れるのもおすすめです。
ピラトゥス山の名物といえば世界最高の急勾配とされる登山鉄道、岩肌に張り付くようにして登っていきます。山の反対側にはロープウェイもありますので、片道ずつ異なる交通手段で周回するのがいいですね。