国際都市バーゼル、半日でスイス&ドイツ&フランスを訪れよう
スイス北西部、ライン川沿いに位置するバーゼル。スイス最古の大学があるなど歴史のある町である一方で、国際決済銀行の本部やノヴァルティス、ロシュなど世界的な製薬会社の本社が置かれ、様々な国際会議も行われるグローバル都市でもあります。そんなバーゼルならではのユニークな特徴といえば、ドイツ、フランスと国境を接し、3つの国にまたがって広がる都市であるということ。市内を走るトラムに乗って、あるいは歩いて国境を越えることもできるんです。
現代ヨーロッパの今を感じることのできるバーゼル、旅程に含めてみるのはいかがでしょうか?
目次
1.国際都市バーゼルには鉄道駅も国ごとにある?
2.第3の都市バーゼル、古い街並みと好対照なモダン建築も
3.三国国境、トラムと徒歩での国境越え
4.ドイツ側は大規模なショッピングセンターとトラムの線路が続く
5.フランス側は生活感あふれる住宅街が広がっている
1.国際都市バーゼルには鉄道駅も国ごとにある?
フランスやドイツとの国境にあるバーゼルは、国際的な交通のハブ。多くの国際列車がバーゼル駅へやって来るのですが、実は鉄道駅が国ごとに分かれています。一番大きいのは中央駅に相当するスイスのバーゼルSBB駅(SBBはスイス国鉄のこと)。旧市街の南側にあり、トラム路線のターミナルにもなっています。チューリッヒやベルン、インターラーケンなどスイス国内各地への特急/急行列車がこの駅から発着します。
SBB駅に隣接しているのがバーゼルSNCF駅、フランス側の駅になります。パリまで行く新幹線TGVをはじめフランス方面の列車が発着します。ちなみにフランス語ではバーゼルではなくバールと呼ばれます。
注意したいのは3つめのバーゼル・バディッシャー駅。こちらはSBB駅/SNCF駅とは距離が離れ、ライン川を挟んだ対岸にあります。地理的にはスイス領内ですが、ドイツ国鉄のターミナルとして、フランクフルトなどドイツ方面への特急ICEが発着します。もっともバディッシャー駅が始発というわけではなく、いずれもSBB駅まで運行されています。
2.第3の都市バーゼル、古い街並みと好対照なモダン建築も
バーゼルはチューリッヒ、ジュネーブに次ぐスイス第3の都市。観光の中心となるのはバーゼルSBB駅からライン川までの間、古い街並みが残る旧市街の界隈です。市庁舎のあるマルクト広場からバルフュッサー広場の周辺は特に賑やかで、観光客や買い物客など人通りも多く、歴史ある建築とモダンなトラムのコントラストが何とも言えず鮮やかです。建築博物館や現代美術館など、文化と芸術の街バーゼルならではのミュージアム巡りも楽しみです。
ライン川に架かる橋を渡ると新市街。31階建ての高層ビルは国際見本市会場、旧市街とはうって変わって未来的な景観を見ることができます。バーゼルは現代建築の宝庫としても知られ、世界的な建築家の作品が集まっていますので、興味のある人はぜひあちこち訪れてみてください。
3.三国国境、トラムと徒歩での国境越え
バーゼルを訪れたらぜひ挑戦してほしいのが徒歩での国境越え。ヨーロッパの多くの国(シェンゲン加盟国)は国境検査を廃止しているので、互いに自由に行き来できるのですが、とはいえ通常の周遊旅行の場合、飛行機あるいは列車で気がついたら国境を越えていたというケースが大半でしょう。バーゼルは町なかに国境線が引かれているため、日本にはありえない陸路の国境越えを身近に気軽に体験することができます。やり方は簡単。町の中心部からはいくらか遠いですので、まずトラムに乗ります。トラムの8番、Weil am Rhein Bahnhof / Zentrum 行きです。ただし終点まで乗るとドイツ側に着いてしまいますので、国境の1つ手前 Kleinhüningeranlage で降りるとよいでしょう(ドイツ語の地名ってなんて長いんだ!)。
下車すると、何もないただ郊外の住宅街の風景ですが、そのままトラムの線路に沿って歩くこと10分、跨線橋を越えるとまもなく国境が見えてきます。
国境といっても特に仰々しい何かがあるわけではなく、車もあるいは自転車も遮られることなく自由に行き来しています。いちおう検問所としての建物はありますが誰もおらず、地面にはそれと分かる線が引かれ、ここまではスイス、ここから先はドイツと簡単な標識が設置されていました。
ちなみにちょうど国境線の真上あたりに、トラムの停留所(Weil am Rhein Grenze)もあります。ただしドイツ⇒スイス方面の乗車のみ利用できる停留所で、スイス⇒ドイツ方面のときは素通りになります。国境を越えて再びスイス側に戻るというときは、利用するのもよいかもしれません。
4.ドイツ側は大規模なショッピングセンターとトラムの線路が続く
国境を過ぎてドイツに入国すると、すぐ左手に見える大きな建物はショッピングセンター。スイスと比べるとドイツのほうが物価が安いため、スイス側から買い物に訪れる人が多いのでしょう。次の交差点でトラムの線路は右折し、Weil am Rhein という町の中心部まで続きます。ドイツ国鉄の駅もあり、ちょっとした商店街が連なっていて、いかにも郊外の町という雰囲気。この周辺に住んでスイス側のバーゼル中心部に働きに出ている人も、少なくないのだろうと思います。
特に目立った見どころがあるわけでもなく、ただ都市近郊の街並みが続くだけではありますが、それでも通貨がスイスフランからユーロに変わるなど、国境を越えた変化は感じられます。話のタネに訪れてみるのも面白いのではないでしょうか。
5.フランス側は生活感あふれる住宅街が広がっている
バーゼル中心部のスイス側からトラムや徒歩で国境を越えてドイツに入国、次の交差点でトラムの線路に沿って右へ進むのではなく、反対の左へ行くとすぐに川があります。大きな橋が架けられたその川は国際河川のライン川、橋を渡った先はフランスです。その名も三か国橋、橋の真ん中がドイツとフランスの国境であり、そこから少し南(川の上流方向)へいったところがスイスを含めた3か国の国境になります。
地元の人たちは徒歩だったり、犬の散歩だったり、あるいは自転車だったり、のんびりと橋を行き来しています。川に沿って公園があり、ごく平穏な日常の景色が広がっています。大きなショッピングセンターのあったドイツ側とは異なり、フランス側は完全な住宅街、団地が連なっていました。
なおフランス側にはバーゼル中心部からトラムの3番(あるいは11番+徒歩)で訪れることもできます。バーゼルの空港もフランス側にあり、時間のある人はぐるっと周遊してみてもよいかもしれません。