パリ左岸モンパルナスからサンジェルマン・デプレの歩き方
パリの中心を流れるセーヌ川を挟んで、北側が右岸、南側が左岸です。川の流れる方向(西から東)から見て、そう呼ばれているのですが、習慣的に右岸地区という用語が使われることは少なく、反対に左岸地区というくくられ方をすることは多いようです。左岸エリアのイメージとしては「山の手」、ホテルや観光客が多く雑多な右岸に比べると、落ち着いた街並みで治安も良くオシャレな雰囲気があります。
目次
1.高さ210メートルのモンパルナス・タワー
2.願いが叶う? 奇跡のメダイユ教会
3.左岸エリアのシンボル、サンジェルマン・デプレ教会
4.老舗カフェのレ・ドゥ・マゴとカフェ・ド・フロール
5.治安よく歩きやすい学生街カルチェ・ラタン
1.高さ210メートルのモンパルナス・タワー
左岸地区の交通の拠点となるのがモンパルナス駅。レンヌやボルドーなどのフランス南西部や、ベルサイユへ行く近郊列車が発着します。その駅前にそびえているのがパリ中心部では珍しい高層ビル。1972年に完成した高さ210メートルのモンパルナスタワーです。主にオフィスとして使われているビルですが、56階の展望テラスは一般に開放されており、エッフェル塔やサクレクール寺院と並んで、パリを代表する展望スポットになっています。
同じターミナル駅周辺でも、ホテルが密集し旅行者が絶え間なく行き交う北駅界隈とは、だいぶ雰囲気が異なります。もちろん最低限の注意は必要ですが、さほど緊張感無く歩けるでしょう。
2.願いが叶う? 奇跡のメダイユ教会
モンパルナスからサンジェルマン・デプレ方面へ。その中間少し西側に外れたところに、奇跡のメダイユ教会という小さな教会があります。メダイユとはフランス語でメダルのこと。19世紀中頃、修道女カタリーナ・ラブレが聖母マリアのお告げを受けてメダルを作り、当時流行していたこれらで苦しむ人々に配ったところ、これらが収束したという伝説があります。以来「奇跡のメダイユ」として世界中に知られることになったそうです。
外観は分かりにくく目立たない教会ですが、近くに老舗デパートのル・ボン・マルシェ・リヴ・ゴーシュがありますので、道に迷ったら、まずデパートを見つけ、その裏手に回ってみてください。
3.左岸エリアのシンボル、サンジェルマン・デプレ教会
サンジェルマン・デプレ地区の中心には、パリ最古の教会ともいわれるサンジェルマン・デプレ教会があります。その起源は6世紀、メロビング朝の時代にさかのぼるそうです。その後、繁栄と衰退の歴史を繰り返し、17世紀には大拡張されて、城壁や防塁なども備えた巨大修道院だったそうです。現在の教会はフランス革命後に修復されたもので、落ち着いた雰囲気がありますが、周りは広場になっていて、多くの人たちが行き交う賑わいの中心になっています。
4.老舗カフェのレ・ドゥ・マゴとカフェ・ド・フロール
サンジェルマン・デプレ教会から広場を挟んで向かいに、老舗カフェのレ・ドゥ・マゴがあります。テラス席に多くの客で賑わっていますが、店内もわりと広く、予約なしでもさほど心配はありません。創業は1885年、名前の由来となったのは2体の中国人形で、今も店内に飾られています。コーヒーもケーキも上品な味わいで、各テーブルに専属のギャルソンがサーブしてくれます。
日本に比べて飲食の費用が高いフランスですが、老舗のカフェで従業員が誇りを持って働いている。そんな格式ある雰囲気も含めて楽しんでください。子連れの入店も問題ありませんが、年齢があまり小さい場合は、屋外のテラス席のほうが過ごしやすいかと思います。
レ・ドゥ・マゴの隣には、同じく老舗カフェとして有名なカフェ・ド・フロールが店を構えています。時間とお金に余裕があれば、2軒とも訪ねて比べてみるのもよいかもしれません。
5.治安よく歩きやすい学生街カルチェ・ラタン
サンジェルマン・デプレ大通りを東へ歩いていくと、カルチェ・ラタンと呼ばれる学生街です。名門ソルボンヌ大学をはじめ、多くの大学が集まっていて、街並みも綺麗で歩きやすい雰囲気があります。カフェや書店、映画館などが多いほか、世界各国から留学生が集まってくるためでしょうか、多国籍な雰囲気が感じられるのもこのエリアの特徴です。セーヌ川沿い、ノートルダム寺院のあるシテ島や、サンルイ島に足を延ばしてもよいですね。
エッフェル塔やルーブル美術館など代表的な見どころがあるわけではなく、1日しかパリに滞在しないのであれば、訪れることはないかもしれません。でも、2度目の訪問だったり、数日間の滞在で余裕がある場合は、また違ったパリの姿を見ることができる左岸地区、ぜひのんびり散策してみてください。