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ストライキ大国フランス、交通機関への影響を解説(後編)【2019-2020年版】

ヨーロッパを旅行していると時々出くわすのがストライキ。航空会社や鉄道、博物館など観光施設に至るまで、多くのところでストライキが発生することがあります。

今回の記事では年金改革を巡ってフランスで発生し、2019年末から2020年の年始にかけて、およそ2か月続いた大規模ストライキの間、パリの地下鉄や特急TGVなど交通機関がどのような影響を受けたのか、その実際を徹底解説します。

駅の混雑

目次
4.地下鉄は自動運転の2線を除いて、朝夕ラッシュ時のみ運行
5.トラムやバスも減便、ただし地下鉄よりは早期に回復
6.ルーブル美術館やベルサイユ宮殿など観光施設も影響あり

>> 国際列車や特急について解説/前編はこちら



4.地下鉄は自動運転の2線を除いて、朝夕ラッシュ時のみ運行

パリ市内の地下鉄は14路線。このうち1号線と14号線は自動運転のため、ストライキ期間中も一応は通常どおりのダイヤで運行をしていました。

1号線は、凱旋門からシャンゼリゼ通りの地下を通って、コンコルド広場、ルーブル美術館、リヨン駅方面を結ぶ、旅行者にとっては利用価値の高い路線、14号線はサンラザール駅方面へ行く路線です。ただ他路線の運休で乗客が殺到し、大幅に混雑したり遅延したりと影響が皆無ではありませんでした。

地下鉄の運行状況

2号線から13号線については、12月上旬の当初はほとんどが運休、その後少しずつ運行を回復しました。比較的早めに再開したのは4号線、7号線、8号線、9号線、続いて2号線、3号線、10号線、11号線。ただし一部区間のみの運行だったり、駅によっては閉鎖されていたため、事実上の快速運転になっているケースもありました。

基本的なパターンとしては、6:30~9:30の朝のラッシュ時と、16:30~19:30の夕方のラッシュ時のみ、しかも2分の1から5分の1程度に減便されての運行でした。ラッシュ時以外の昼間は運休。これが週末になると13:00~18:00の昼間のみ運行し、他の時間帯は運休というパターンになることもありました。

パリ交通公団のウェブサイトには毎日、その日の地下鉄の運行予定図がアップされていました。下記の図、運行路線のみが描かれ、運休の路線は薄く消えています。また、赤い×印は閉鎖されている駅です。

パリのストライキ運行路線図

5.トラムやバスも減便、ただし地下鉄よりは早期に回復

地下鉄に比べると回復が早かったのはトラムとバスです。

ただしトラムは大半がパリの環状線の外を走っていますので、一般の旅行者にはあまり利用機会はありません。郊外の貧困層が多い地区を走る路線もあり、より公共交通の需要も高いため、優先的に走らせたのかもしれません。

バスは路線数が多く複雑ですが、地下鉄が昼間運休している間も運行していて、市民の貴重な足となっていました。ただ路線や時間帯によっては、乗り切れないくらいに混雑し、渋滞も激しいため遅延もしていました。

パリの市バス

このほかパリには、高速鉄道RERや、近郊列車トランシリアンの運行もあります。旅行者の利用が多いのはシャルルドゴール空港やオルリー空港へ行くB線や、ベルサイユ宮殿へ行くC線、L線、N線など。やはり減便されていましたが、昼間も運行があるなど地下鉄よりは動いていました。

いずれも公式サイト上にその日の運行予定がアップされているほか、駅に時刻表が貼り出されてもいましたが、実際は予定どおり運行せず、当日大きく遅延したり欠便するケースも多かったようです。これはストライキ時に限りませんが、全て鵜呑みにせず、時間に余裕を持って行動する必要があるかと思います。

近郊列車

6.ルーブル美術館やベルサイユ宮殿など観光施設も影響あり

スト初日、12月5日のゼネラルストライキの際は、ルーブル美術館、エッフェル塔、ベルサイユ宮殿など、多くが閉館など影響を受けましたが、その後はおおむね通常どおりオープンしていました。

各社の日本語ツアーなどもほぼ予定通りの催行でした。特にベルサイユ宮殿など郊外の見どころについては、公共交通が乱れていましたので、確実に行けるツアーには優位性と安心感があったかと思います。

ただ、突発的にストライキが発生し、ルーブル美術館やベルサイユなど、臨時で休館したり営業時間が短縮になるケースがありました。世界的に有名な観光地だからこそ、ストを実行することでメディアにも注目され、アピールの機会になる意味合いがあるのでしょう。

20年1月末に交通機関のストがおおむね収束した後も、散発的にストが起こる可能性は残されているようです。公式サイトなどで営業状況を確認し、お出かけされることをおすすめします。

ルーブル美術館



>> 地下鉄・バスなどパリ交通公団のウェブサイトはこちら

>> 近郊列車トランシリアンのウェブサイトはこちら

旅情報

ストライキ大国フランス
交通機関への影響を解説(前編)【2019-2020年版】

およそ2か月続いたストライキ。国際列車や特急TGVは、実際どの程度動いていたのでしょうか?




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