グランドサークル、モニュメントバレーやアンテロープの時差／サマータイムに注意！
アメリカの大自然を満喫できるグランドサークル。グランドキャニオンをはじめ、モニュメントバレー、アンテロープキャニオンなど、広大な範囲に見どころが広がっているのですが、ここでややこしいのが時差！サマータイムの有無や、独自の基準を採用するナバホ・ネイションの存在もあって、実に間違いやすいのです。訪問先で１時間ずれていた！ 予定していた観光ができなかった！ なんてことにならないように、本記事を参考にしてくれぐれもご注意ください。
目次
１．グランドサークルの範囲は半径230キロ、５つの州
２．基本的には太平洋ゾーンと山岳部ゾーンの２つ
３．注意その１、サマータイムを採用しないアリゾナ州
４．注意その２、サマータイムを採用する自治区ナバホ・ネイション
５．モニュメントバレーはナバホ・ネイション、アンテロープキャニオンは？
６．注意その３、さらにサマータイムを採用しているホピ族
７．注意その４、将来的にサマータイムが廃止される可能性も？
１．グランドサークルの範囲は半径230キロ、５つの州
グランドサークルとは一般的に、レイクパウエルを中心とした半径230キロの範囲を言います。ネバダ州、アリゾナ州、ユタ州、さらにはニューメキシコ州、コロラド州の５州にまたがり、グランドキャニオン、ザイオン、アーチーズなど10の国立公園、さらにアンテロープキャニオン、モニュメントバレーなどの国立モニュメント、国定公園、州立公園が含まれています。
観光の拠点となる都市はサークルの外縁に位置し、ラスベガスがネバダ州、フェニックスがアリゾナ州、デンバーがコロラド州です。
２．基本的には太平洋ゾーンと山岳部ゾーンの２つ
アメリカ国内の時差は、アラスカ州やハワイ州を除いた本土で４つのゾーンに分かれます。西から順に太平洋ゾーン（日本とマイナス17時間）、山岳部ゾーン（日本とマイナス16時間）、中部ゾーン（日本とマイナス15時間）、東部ゾーン（日本とマイナス14時間）です。グランドサークルの範囲では、ネバダのみ太平洋ゾーンで、アリゾナ、ユタ、ニューメキシコ、コロラドは山岳部ゾーンに含まれます。ネバダ州のラスベガスから、グランドキャニオンのあるアリゾナ州へ移動すると、時計の針を１時間進める（ラスベガスで午前９時ならグランドキャニオンは午前10時）必要があるわけです。
３．注意その１、サマータイムを採用しないアリゾナ州
これだけなら２つの時差に気を付けるだけなので簡単なのですが、状況をややこしくしているのがアリゾナ州。グランドキャニオンや聖地セドナを擁するアリゾナは、周囲の州とは異なり、サマータイムを採用していないのです。アメリカのサマータイム期間は、３月の第２日曜から11月の第１日曜まで。この期間はネバダ州など太平洋ゾーンと同じ時差になります。つまり夏の間（正確には春先から秋までの約８か月）、ネバダ州のラスベガスからアリゾナ州のグランドキャニオンへ移動する際には時差はありません。
４．注意その２、サマータイムを採用する自治区ナバホ・ネイション
でも、ここまでなら、まだそれほど難しくはないでしょう。観光の拠点となるラスベガスと、最大観光地のグランドキャニオンが、夏の間は同じ時差、冬になると１時間の時差、と理解すればいいわけです。要注意なのがナバホ・ネイションです。ナバホ・ネイションとは、アメリカ最大の先住民と言われるナバホ族の自治区のことで、その領域は主にアリゾナ州北東部、さらにユタ州南東部やニューメキシコ州北西部にかけて広がっています。このナバホ・ネイション内においては、サマータイムが採用されているのです。
５．モニュメントバレーはナバホ・ネイション、アンテロープキャニオンは？
ナバホ・ネイションに含まれる観光地としては、モニュメントバレーが挙げられます。アンテロープキャニオンもナバホ族の管理ですが、ツアー拠点となるペイジの町が域外のため、アンテロープはナバホ・ネイションの時差ではなく、アリゾナ州の時差に従います。
ここが最もややこしいポイント。文字だけだと分かりにくいと思いますので、表にしてみましょう。日本が午前６時の場合の、各地の時刻を記載します。
| 場所 | 州／自治区 | 時間帯 | 夏時間 （３～11月） | 冬時間 （11～３月） |
|---|---|---|---|---|
| ロサンゼルス | カリフォルニア州 | 太平洋標準時 UTC-8 | 午後２時 | 午後１時 |
| ラスベガス | ネバダ州 | 太平洋標準時 UTC-8 | 午後２時 | 午後１時 |
| グランドキャニオン | アリゾナ州 | 山岳部標準時 UTC-7 | 午後２時 | 午後２時 |
| アンテロープキャニオン | アリゾナ州 | 山岳部標準時 UTC-7 | 午後２時 | 午後２時 |
| モニュメントバレー | アリゾナ州＆ユタ州 （ナバホ・ネイション） |
山岳部標準時 UTC-7 | 午後３時 | 午後２時 |
| ザイオン | ユタ州 | 山岳部標準時 UTC-7 | 午後３時 | 午後２時 |
| アルバカーキ | ニューメキシコ州 | 山岳部標準時 UTC-7 | 午後３時 | 午後２時 |
| デンバー | コロラド州 | 山岳部標準時 UTC-7 | 午後３時 | 午後２時 |
| 日本 | 日本標準時 UTC+9 | 午前６時 | 午前６時 | |
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※夏時間は３月の第２日曜から11月の第１日曜までの間です。 ※モニュメントバレーはアリゾナ州からユタ州にまたがっています。 ※日本を午前６時とすると、アメリカ各地は"前日の午後"であることにご留意ください。 |
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６．注意その３、さらにサマータイムを採用しているホピ族
さらにややこしいのは、ナバホ・ネイションの中に、別の先住民ホピ族の居留地ホピ・リザベーションがあること。そして、ホピ・リザベーションはサマータイム不採用であることです。もしホピの居留地を夏に訪れる場合は、アリゾナ州⇒ナバホネイション⇒ホピ・リザベーションと移動するごとに、時間が進んだり、戻ったりすることになりますので、くれぐれも混乱しないように。
７．注意その４、近いうちにサマータイムが廃止される可能性も？
最後に、ここまで書いてきたことを全て覆すかもしれない情報です。近いうちにサマータイムそのものが無くなる可能性があります。そもそも夏の日照時間を有効に活用する目的で始まったサマータイムですが、最近では１年に２回だけの切り替わりとはいえ、睡眠サイクルが１時間強制的にずらされることで、健康被害のデメリットが叫ばれるようになりました。
ヨーロッパ、アメリカのそれぞれで、サマータイムの廃止、もしくは１年を通じてサマータイムのほうに揃える（冬時間の廃止と言えるでしょうか）ことが検討されているそうです。コロナの影響で議論が遅れていますが、今後の成り行きに注目です。
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