ふねしゅーの日本探訪/其の廿 子連れ登山 大吉山・朝日山
子連れ登山シリーズ第2弾。京都・宇治の山を歩く
【子連れ登山データ】
登山日 | 2010年5月3日(月) 晴れ |
子供の年齢 | 3歳2ヶ月♂(全て自分で歩く) |
経路/所要時間 | 宇治橋/京阪宇治駅前(12時頃出発) → 宇治上神社 → 大吉山(13時頃/昼食) → 朝日山(14時半頃) → 興聖寺/宇治川沿い(15時半頃下山) |
難易度 | ★ |
ひと言 | 大吉山、朝日山とも眺望良し。お手軽感が◎。3歳児がお菓子に釣られつつも、最後まで歩き通せる程度。世界遺産の宇治上神社や平等院と合わせた観光もいいかも。 |
※難易度は標高や歩行距離、売店の有無などにより、子連れ視点で評価。あくまで主観による目安です。 ★幼児~ ★★幼児~低学年 ★★★低~中学年 ★★★★中~高学年 ★★★★★高学年以上 |
宇治川を望む大吉山 観音様が祀られる朝日山へ
妻の実家がある京都・宇治の市街を見下ろす大吉山(仏徳山)と朝日山に、3歳の長男を連れて登りに行った。妻や1歳の長女も一緒にと思っていたが、長女が前日熱を出したため留守番となった。宇治中心部の東を流れる宇治川は、西岸に10円玉の図柄で有名な平等院、東岸に現存する日本最古の神社建築といわれる宇治上神社という2つの世界遺産を配し、界隈は多くの観光客で賑わっている。宇治はお茶が有名ということもあって、抹茶団子や抹茶ソフトクリームが客寄せの目玉になっているが、ここまでの市内歩きで疲れた長男の機嫌をとるために、まずは抹茶ソフトで手を打った。
【宇治川から大吉山、朝日山を望む】
宇治上神社を横目に林間に入っていくと、まもなく分岐があって、大吉山への登山道(というかハイキングコース)が始まる。絵に描いたようなジグザグのつづら折の道で、登っていく。大吉山って、とってもありがたい名前なんだけど、なんだかふざけた名前だなと思ってしまうのだが、眼下には宇治上神社の本殿や拝殿の屋根を見ることができ、この山自体が神体とされていることがよく分かる。
大吉山は標高132メートル、一息で登れるような山だが、3歳児の足ではそうもいかない。すでに12時を回って弁当をせがむ長男を、「頂上で食べよう」「もうすぐ頂上だ」となだめ、またお菓子休憩を何度か挟みつつ、登る。天気が良いこともあり、登っている人も降りてくる人も、共に多い。年配の夫婦が多いが、若者グループや家族連れもいる。長男と同じくらいと思しき子供も1人見かけた。ちゃんと歩いていた。えらいぞ。
「もうすぐだ」と何回目の嘘をついた後、やがて嘘は本当になり、展望台が見えてくる。このとき気づいたのだが、実は展望台は山頂ではなく、だから標高はたぶん100メートルちょうどくらいだ。ともあれ、宇治川や平等院、宇治市街や洛西の山々が望める景色はなかなか。長男も眺めが良いのは分かるようで(当たり前?)欄干にもたれて遠くを見やっている。
【大吉山展望台から宇治川、平等院を望む】
歩いている間も、弁当を食べている間も、いろいろな人に話しかけられる長男だが、相変わらず愛想は悪い。照れているだけではあるが、「何歳なの?」と聴かれても答えないので、代わりに「3歳です」と答える。かと思うと、突然、最近の彼のお気に入りの言葉「おたのみもうす!」と発声、2人組のおばさんをびっくりさせていた。
たいていの人は大吉山に登り、そして降りるのだが、ハイキングコースは東海自然歩道となって、さらに奥へと続いている。さずがにずっと歩いていくことはしないが、大吉山の隣にある朝日山という山へ、縦走することにする。展望台で弁当を食べ、やり終えた感があるのか(そりゃそうだろう)、「帰ろうよ~」と言い出す長男を騙し、いったん下った進路を、再び上へ。
【大吉山から朝日山へ】
歩いている人が多かった大吉山に比べ、朝日山は人気(ひとけ)がない。そのぶん道は狭く、急で、より登山気分が味わえる。幸い手持ちのお菓子は多かったので、休憩をたくさん取りながら抱っこを回避、でもそれほどぐずることもなく、ついに最後の石段を登り切った。
朝日山は標高124メートル、山頂にお堂があって観音様が祀られている。お堂には鍵が掛けられておらず、扉を開けて中に入れそうだったので、恐る恐る足を忍ばせていくと、お賽銭入れや線香立てと一緒に、巡礼帳としてノートが一冊置いてある。おっ、情報ノートじゃないか、と思ってしまうが、開いてみると、最新の日付は今日だった。毎日誰かしらは登ってきているのだ。せっかくなので一筆。焼香し、おりんを鳴らして、長男と一緒に南無南無。
お堂から少し離れたところに石塔が立ち、その先、木々の間から視界が開けている。もちろん宇治市街や、宇治川、平等院などが一望できたが、大吉山の展望台よりむしろ眺めがいい気がしたのは、ほかに人もなく、閑寂とした環境のせいだろうか。ここで抑えの切り札として温存していたバナナを食す。
【朝日山の山頂にて】
下り道、朝日山にて唯一すれ違ったおじさん、なんと1週間に2回くらい来ている、とのこと。どんな山にも地元にはそういう人がいるのだろうが、微妙な天気の違いとか、木々の茂り方、鳥の声なども、敏感に分かるようになるのだろう。ここでも私が「3歳です」と代返したが、「(その歳でここに来てたら)将来はエベレストにでも登るようになるんちゃうか」と言われていた。
登りに比べ、下りはやっぱり早い。興聖寺というお寺に下ると、まもなく宇治川のほとり。体調が回復した長女を連れて散歩に出てきていた妻と合流した帰り道、さすがに長男はベビーカーに揺られてスイッチが切れていた。