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中国/上海&北京旅行その7 盧溝橋

9月21日 中国近代史の史跡を訪れ、旅は終わった

日中戦争の発端として知られる「盧溝橋(ろこうきょう)事件」。その舞台となった盧溝橋は、北京市の南西部にある。場所は分かりにくく、私たちは苦労して市バスを乗り継いだのだが、前門から301系統のバスで行くことが可能だと帰りに判明した。

盧溝橋という橋それ自体は、深い歴史を持つ名橋であり、その立派さに、かのマルコ・ポーロが感嘆したといういわれから、マルコ・ポーロ橋の別称もある。橋の欄干には1体ずつ違う表情をした獅子の石像が残されていた。

中国

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日本人にとって看過できないのは、盧溝橋のほど近くに建てられた抗日戦争紀念館であろう。

「偉大勝利」と大きく掲げられた展示は、アヘン戦争以来の欧米列強による半植民地化の歴史も、日清戦争等に関する叙述もなく、ほぼ完全に中国共産党による1931年の満州事変から1945年の終戦までの「抗日」だけに絞った内容となっている。満州事変から日中戦争開戦、三光作戦、南京大虐殺、国共合作など展示は続く。説明書きはすべて中国語(以前は日本語もあったらしいのだが)、南京大虐殺の資料写真や、2人の日本兵による百人切り競争を伝える当時の日本の新聞記事等が展示されていた。

驚いたのは、見学者の大半が子どもたちであったことだ。英語表記の説明が一切ないことから外国人来館者を期待していないことは察せたが、大人向けの啓発というよりむしろ、子どもへの教育施設の側面が強いのだと理解できた。ちなみに子どもたちの年齢は小学校低学年、人数はざっと100人以上。無邪気にはしゃぎ回っており、落ち着いて見学するという雰囲気ではなかった。

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展示の最後に、短く戦後の日中友好の歴史が綴(つづ)られていた。国交回復から村山談話まで、未来へ向けた友好の言葉で結ばれていた。

ここで注目したいのは、以前は日本軍の「残虐行為」を示す蝋人形等の展示があり、最近それが撤去されて日中友好の宣伝に変わったという事実だ。内心もっとどぎつい展示内容を予想していたから、この点については、いささか拍子抜けの感もあった。

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中国政府にとっての歴史問題が、外交カードであり、かつ内政問題を制御する手段であることは、よく言われることである。展示内容が穏やかになったのは、中国側の歴史認識が軟化したわけではなく、政治戦略の都合によるのだろう。おそらく先日の日中首脳会談を受けて、次は安倍首相と胡主席の握手写真が掲示されるのではないだろうか。

日本では何かにつけマスコミが歴史問題を煽(あお)る傾向にあるが、今回紀念館を訪れて感じたことは、左にせよ右にせよ、日本側が真正面から受けすぎなのではないかということだ。中国側の展示をそのまま伝え「怒りはまだ癒えていない」と報じることも、展示資料の仔細を取り上げて「でっちあげだ」と主張することも、歴史議論としては大事なのかもしれないが、どうも日本国内だけで空回りしているような印象がある。

中国はもっとしたたかである。東アジアの巨大な隣人に対し、我々日本人は歴史問題で感情的になることを避け、冷静に未来を見据える必要があるのではないだろうか。

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