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中国/上海&北京旅行その3 西湖を巡る杭州(2006年秋)

9月17日 西湖の景観が美しい 六大古都の一つ杭州へ

中国6大古都の一つに数えられている杭州は、詩や水墨画などの文化が発達したことで知られる南宋の都であり、モンゴル帝国の元に支配された時代には、かのマルコ・ポーロが訪れ、「世界で最も美しく華やかな町である」と書き残している。

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上海から杭州へは長距離バスを利用した。列車より値段が高いぶん空いており、すぐに乗ることができた。

整備され快適な高速道路、2時間あまりの道のり。今はまだ、運転の荒さや、外国人が自由に訪れることのできない非開放都市の問題があるが、同じ広大な大陸国であるアメリカでは一般的であるように、レンタカーを利用した旅行が、いずれ中国でも流行るのではないか、そんな予感がした。

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西湖十景と称される西湖を巡る景勝地が、杭州の主たる見所である。天橋立を彷彿させる長細い砂嘴のような堤防や、湖面を埋め尽くす蓮の葉が東洋的な美を感じさせる庭園など、全周15キロの西湖を中心に名所が点在している。

蘇州と同様、自転車を借りて巡るのにも適している。西湖一周の道のりはおおむね平坦であり、半日もあれば充分回ることができる(杭州の見所は西湖以外にも多く、郊外に広がっているが、時間の都合で訪れることができなかった)。

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北方民族の攻勢に相対して都が置かれた歴史もある杭州だが、西湖の北西には、女真族の王朝である金に対抗したことで漢民族の英雄とされる北宋の将軍岳飛の廟がある。この岳王廟で有名なのが、岳飛を裏切って投獄・毒殺に追いやったとされる秦檜の像である。

妻や部下たちと共に、上半身裸で後ろ手を縛られ、跪いた姿で柵に囲われている。以前は訪れる人々が、1000年経っても消えない恨みを込めて像に向かって唾棄していたといわれるが、「請勿吐痰(痰を吐くなかれ)」と注意書きがされ、実際に唾や痰を吐きかけているような人はいなかった。

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そんな杭州の印象は、とにかく中国人の国内旅行者が多いということ。外国人観光客の姿も見かけるが、割合として地元のカップルや家族連れが多く、湖畔の道はさながら休日の繁華街のように賑わっていた。

日本では今どきこんなにも賑わう観光地はないのではないかと思えるくらい、大勢の人たちが散歩したり、カメラの前でポーズをとったりしてはしゃいでいた。

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中国は物価水準に対して観光地の入場料金が高い。たとえば雷峰塔という湖畔の五重の塔の料金は、40元(600円)である。600円と聞くと大した数字ではないように思えるかもしれないが、食堂で10元(150円)も出せば炒飯にビールが付くことを考えれば、40元というのは相当の額である。

感覚的には2000円以上の重みがある。それだけ高額の観光にお金を払えるだけの裕福な層が、ずいぶん増えているということだ。

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最近はビザ要件の緩和を受けて、日本を訪れる中国人も増えている(平成15年度の約45万人に対して、平成17年度は約65万人。香港除く)。不法就労の問題など、解決しなければならない課題は決して少なくないが、今はまだ国内旅行で満足している大多数の中国人が、国外に目を向け、日本へ旅行しようと考えたとき、その観光需要がもたらす経済効果は図り知れないものがあるだろう。

無視することのできない巨大な隣人の勢いを、ひたひたと肌に感じる杭州だった。

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