地球一周達成
旅はついに終わった。長かった。地球は途方もなく大きく、美しく、そして強かった。
人はみな、温かく、優しかった。
この旅を応援し励ましてくれた全ての人々に感謝、
この旅を通じて出会った全ての人々に感謝、
とりわけ、二度と連絡をとることも、まして出会うこともありえない、
だけど笑顔で手を振ってくれた、数多くの彼等に。
この旅がまだ始まったばかりの頃、
出会った日本人が別れ際に言った。
「何がともあれ、生きて帰りましょう。それが一番大事です」
そのときは実感のなかった言葉が、
わずか数か月後のグアテマラで鮮明かつ強烈に突き刺さる。
強盗
この旅で命を落とす可能性。
それを悟った。
イラクへ。イスラエルへ。アフリカへ。アフガニスタンへ。
危険を求めて旅を続けたわけではない。
しかし旅に妥協するつもりはなかった。むしろなくなった。
自転車で走っていると、よく訊かれる質問があった。
「どこまで走るんですか?」
「東京まで」
こう答え、そして付け足す。
「五体満足で還る。それがこの旅の目標です」
この回答を聞いて、笑う人は多かった。
笑いたければ笑えばいい。
誰もに理解してもらえる旅だとは、もとから思ってはいない。
通算走行距離4万キロの突破は日本国内だった。
地球一周
生還
他には何も要らない。