第1章 白夜の旅立ち/2001年5~7月 あらすじ
2001年5月26日 旅立ち
地球一周40000kmを自転車で走る。壮大な夢を抱いて、僕は世界へ飛び出した。
出発地は北米。南米から欧州もしくはアフリカ。そしてアジア。
世界をぐるりと一巡りして、最後に日本を目指すのだ。
そのほうが絶対感動的であると思った。

![]() |
日本 (Japan) |
旅行期間 | 2001年5月26日 |
訪問経路 | 東京~(アメリカ) |
旅立ちは新東京国際空港。
最初の目的地はアラスカのアンカレジ。
自転車は現地に着いてから買うつもり。
11万あまりの手持ちの現金をすべて米ドルに両替えし、
あまった日本円の小銭のうち、五円玉1枚だけを残して、
備え付けの募金箱に放り込んだ。
旅に御縁がありますように。
![]() |
アメリカ合衆国 (United States of America) |
旅行期間 | 2001年5月26日~2001年6月7日(13日間) |
訪問経路 | (日本)~アンカレジ→フェアバンクス→(カナダ) |
自転車走行開始 デナリを望んで

買ったばかりの自転車にまたがって、
僕はゆっくりと走り出す。
アンカレジから三日で、デナリ国立公園に到着。
草木がまだ芽吹く前の、荒涼とした大地。
北米最高峰デナリ(マッキンリー)の純白峰。
中央部の町フェアバンクスから、進路は東。
完全舗装のアラスカハイウェイ。
およそ百キロ走ると、ようやく次の町がある。
カナダ国境を目指して。
走る。走る。
白夜のアラスカ 真夜中の夕焼け

朝から晩まで一日中明るい。
初めてパンクし、初めて雨にも降られた。
時間感覚が狂い、
夜八時を過ぎても平気で走っていた。
米を炊き、缶詰めなどのおかずで夕食を作る。
深夜十一時を回って、炎の夕焼け。
ゆっくりと時間をかけて焦がされるから、
驚異的に紅い。紅蓮の空。
テントの中で眠りに落ちて、
また朝を迎え、僕は走り続けた。
![]() |
カナダ (Canada) |
人口 | 3001万人 | 面積 | 997.1万km2 |
首都 | オタワ | 宗教 | キリスト教(カトリック) |
言語 | 英語、フランス語 | 通貨 | カナダドル |
旅行期間 | 2001年6月7日~2001年6月14日(8日間) | ||
訪問経路 | (アメリカ)→ホワイトホース→(アメリカ) |
熊との遭遇 カナダ人家族との交流

道を走っていると、前方でガサゴソ音がした。
なにかと思ってふと見ると、黒い背中が見えた。
百メートルほど走って後ろを振り向いた。
さっきの場所で、ひょっこりと姿を現し、
のそのそと道路を横断する熊がいた。
自転車に乗った僕を見てびっくりしたのだろう。
ユーコン準州の州都ホワイトホース。
キャンプ場で出会った家族の家に三日間。
自然を大いに愛するカナディアン。
この旅初めての大きな出会いがあった。
![]() |
アメリカ合衆国 (United States of America) |
人口 | 2億8142万人 | 面積 | 371.8万km2 |
首都 | ワシントンDC | 宗教 | キリスト教(プロテスタント) |
言語 | 英語 | 通貨 | ドル |
旅行期間 | 2001年6月7日~7月20日(44日間) | ||
訪問経路 | (カナダ)~ジュノー~シアトル→イエローストーン~ソルトレイクシティ ~サンフランシスコ→ロサンゼルス→サンディエゴ→(メキシコ) |
野球観戦 初めて日本人に出会う

アラスカ沿海部を船で南下。
州都ジュノー、ロシア人の築いた町シトカ。
鯨を眺め、アザラシに出会い、
のんびりと長い船旅の末、
アメリカ本土ワシントン州シアトルに到着。
そびえる摩天楼。
満室ユースホステルで日本人旅行者と出会い、
メジャー観戦。セイフコフィールドへ。
イチロー五打数無安打。佐々木登板なし。
残念!
世界最初の国立公園 イエローストーン駆ける

シアトルから夜行バスのグレイハウンドで、
世界最初の国立公園といわれるイエローストーン。
夏場のバカンス季節。
賑わうキャンプ場。観光客集まる間欠泉。
雄大なロッキー山脈を眺めながら、
アメリカ中央部の田舎町を抜けていく。
ワイオミング州からユタ州へ。
モルモン教の都ソルトレイクシティ。
砂漠気候はとにかく暑く、
知人の誘いもあってカリフォルニアの海沿いへ。
一路南へ 自転車野郎は共に往く

サンフランシスコでしばしの休息。
そして温暖なカリフォルニアの海岸線。
入り組んだ坂道の連続。
途中のキャンプ場で出会った
シカゴ在住のチャリダー、デリク。
大阪で英語教師をしていたという彼と、
サンタモニカまで共に走る。
ロサンゼルスのダウンタウン、
店先から聴こえてくるスペイン語の会話。
メキシコはもう近い。